当会はキリマンジャロ山で村人たちと協力して植林に取り組んでいます。これまでは主に森林再生、水源保護を目的として、裸地化した尾根や水源地での植林に取り組んできました。しかしこれからは山麓住民の生活や収入向上に同時に寄与していくような社会・環境保全林の創出が重要になってきます。薪など生活資源の生産・採集や地域住民の収入、生計の補強に資する機能を持った森林の創出です。
キリマンジャロ山ではコーヒー産業が斜陽となって久しく、村人たちは野菜栽培などへの栽培作物の転換、家畜・家禽飼育への注力など、収入稼得手段の切り替えや多様化で対応してきました。しかしかつてのコーヒーのように家計を豊かに潤し、これさえやっていれば大丈夫というような代替手段は未だにありません。さらに生活の森であったハーフマイル・フォレスト・ストリップ(HMFS)が国立公園に取り込まれた結果、家畜のための草の入手が困難となりました。家畜、とくに牛は畑に欠かせない牛糞の供給源でしたが、その維持が難しくなっています。そのため野菜栽培などの新たな収入稼得手段も打撃を受けるようになっています。
こうしたことから、今後は環境面のみならず地域の社会経済面からも、再生された森が住民生活の安定に寄与していくような方向で植林を考えていく必要があります。
そこで当会は、山麓住民と協力してキリマンジャロ山で養蜂を安定的に行っていくための森づくりに今後取り組んでいく計画です。植えた木々が花を咲かせ、その下でミツバチを飼うことができるような森です。
さっそく今年度から蜜源樹の大量育苗に着手しています。たとえば上の写真で花を咲かせているのはキリマンジャロ山で見かけることのできる蜜源樹ですが、今年度育苗に取り組んでいるのもこうした木々になります。
(写真左上)コルディア・アビシニカ<ムラサキ科>、(同右上)グレビレア・ロブスタ<ヤマモガシ科>、(同左下)カリアンドラ・カロシラス(マメ科)、(同右下)ペルシア・アメリカーナ<クスノキ科>。
〔No.61 その他の内容〕
● キリマンジャロ山の国立公園問題を巡る最新状況
~うねりとなる現地の取り組み~
● 活動の現場から
・植林活動: 小雨季の降雨不足、各苗畑を直撃
・自立支援: 裁縫教室、コロナの影響さらに厳しく
・生活改善:(養蜂)新型養蜂箱完成!
(養鶏)試験養鶏
(改良カマド)今年度はテマ村で設置再開
・そ の 他 : 小学校教場の改修工事実施
診療所の医師用住宅建設支援実施