世界遺産のあるンゴロンゴロ、なかでもロリオンドから、マサイの人々を排除しようとの動きが再燃しています。
もともと野生動物とともに暮らしてきた彼らは、やはり世界遺産でもあるセレンゲティの野生動物と自然を守るためとして、これらの地域に強制的に移住させられました。その代償として政府は、彼らを二度と強制移住させないこと、彼らの生活と発展を支援することを約束しました。
またンゴロンゴロは、人間を排除する「国立公園」としてではなく、人と野生動物の共生の地とすることを目的としたことから、「保全地域」という特別な地位と名称が与えられています。
それにも関わらず、現地では野生動物、自然環境、外国人(=観光)重視の政策、対応がとられ続け、地域住民(マサイの人々)は虐げられ続けてきました。
生活支援のためのインフラは十分に整備されるどころか、家屋は燃やされ、家畜は没収され、逮捕される者も後を絶ちません(ここでは「逮捕」という穏やかな表現にとどめておきます)。
この問題はすでに半世紀にもわたっており、キリマンジャロ山の森の問題よりもはるかに長いといえます。マサイの人々が置かれている状況はあまりに理不尽でアンフェアなものです。
強制排除が行われる理由として、ンゴロンゴロでの人口と家畜の増加がいわれています。確かにそれが環境収容力とバッティングするといった問題はあるかもしれません。絞る知恵も必要でしょう。しかし守るべきは野生動物、自然環境であって、そこに暮らしている人々はその限りではない、などということがあってよいはずがありません。
いわんや観光や外国人の余興(ハンティング)促進のために強制排除が行われるのだとしたら論外だと言えます。 じつは2013年に、この問題がいったん沈静化したことがあります。その影には、国際機関やタンザニア政府による保護一辺倒の横暴なやり方に声を上げた世界の人々の声がありました。その声がいま再び求められています
。 ドイツのNGO“Rainforest Rescue”が、以下のサイト(英語)で国際機関(ユネスコ世界遺産委員会)およびタンザニア大統領に対して、ンゴロンゴロからのマサイの人々の強制排除をやめるよう求める国際署名キャンペーンを展開しています。趣旨に賛同される方は、こういう形でもマサイの人々が必要としている力になれますので、ぜひ協力の検討をしてみてください。
Rainforest Rescue: “Stop the eviction of the Maasai from Ngorongoro!”